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落来
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おちく
ハテ
何処にてか会いたる
様なと思いながら身を縮まして
恐々振り仰ぐ顔に
落来る
其人の涙の熱さ、骨に徹して
シュッシュッという
弾丸の中を
落来る小枝をかなぐりかなぐり、
山査子の株を縫うように進むのであったが、
弾丸は段々烈しくなって、森の
前方に何やら赤いものが
隠現見える。
南に
方りて
箒川の
緩く
廻れる
磧に臨み、
俯しては、
水石の
粼々たるを
弄び、仰げば西に、富士、
喜十六の
翠巒と対して、清風座に満ち、
袖の沢を
落来る流は、二十丈の絶壁に懸りて
数千の葉が庭ぐるみ皆
戦いだ。
颶風落来と目がくらみ、
頭髪が乱れた。