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菫花
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すみれ
ふりがな文庫
“
菫花
(
すみれ
)” の例文
「われはその
菫花
(
すみれ
)
うりなり。君が
情
(
なさけ
)
の
報
(
むくい
)
はかくこそ。」少女は
卓越
(
たくご
)
しに伸びあがりて、
俯
(
うつむ
)
きゐたる巨勢が
頭
(
かしら
)
を、ひら手にて抑へ、その
額
(
ぬか
)
に
接吻
(
せっぷん
)
しつ。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
かくはかなき身と生れても、
流石
(
さすが
)
に
粧
(
よそほ
)
ひ飾る心をば持ちたるにや、髮平かに結ひ上げて、一束の
菫花
(
すみれ
)
を揷せるが、額の上に垂れ掛れり。われその
容
(
かたち
)
を窺ふに、
羞慙
(
しうざん
)
あり、
慧巧
(
けいかう
)
あり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
これは日頃主人が非常に
愛翫
(
あいがん
)
しておった
菫花
(
すみれ
)
の模様の着いた
永楽
(
えいらく
)
の猪口で、太郎坊太郎坊と主人が呼んでいたところのものであった。アッとあきれて夫婦はしばし無言のまま顔を見合せた。
太郎坊
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
明
(
あく
)
る年の一月、謝肉祭の頃なりき、家財衣類なども売尽して、日々の
烟
(
けぶり
)
も立てかぬるやうになりしかば、貧しき子供の群に入りてわれも
菫花
(
すみれ
)
売ることを覚えつ。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
それに毀れた方はざっとした
菫花
(
すみれ
)
の模様で、焼も余りよくありませんが、こちらは中は
金襴地
(
きんらんじ
)
で外は
青華
(
せいか
)
で、
工手間
(
くでま
)
もかかっていれば出来もいいし、まあ永楽という
中
(
うち
)
にもこれ
等
(
ら
)
は
極上
(
ごくじょう
)
という手だ
太郎坊
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
平地には
菫花
(
すみれ
)
多く、
薊
(
あざみ
)
その外の雜草の間に咲きひろごりたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
旧
(
ふる
)
びたる
鷹匠頭巾
(
たかじょうずきん
)
、ふかぶかと
被
(
かぶ
)
り、
凍
(
こご
)
えて赤うなりし両手さしのべて、浅き
目籠
(
めご
)
の
縁
(
ふち
)
を持ちたり。目籠には、
常盤木
(
ときわぎ
)
の葉、敷き重ねて、その上に時ならぬ
菫花
(
すみれ
)
の束を、愛らしく結びたるを載せたり。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
菫
漢検1級
部首:⾋
11画
花
常用漢字
小1
部首:⾋
7画
“菫”で始まる語句
菫
菫色
菫草
菫菜
菫野
菫雛
菫雨
菫々菜
菫外線
菫御前