菩提山ぼだいさん)” の例文
自分は、病気療養のため、中国の陣よりおいとまを賜わって、久しく郷里菩提山ぼだいさんの城や南禅寺に籠って、薬餌やくじに親しんでいた竹中重治でござる。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なぜじゃ。なぜ半兵衛は、すぐにも菩提山ぼだいさんの手勢をひいて、駈けつけぬのじゃろう。……彼は、忠臣のはずなのに」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
美濃みの菩提山ぼだいさん城の子竹中重治といっては、世上の軍学者でその名を知らない者はないほどつとに聞えている大才である。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
丸につたの葉でしょ。丸に蔦の葉の御紋は、このあんのうしろから登れる菩提山ぼだいさんのお城の古い屋根瓦にも見られます。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは、安藤伊賀守の娘聟むすめむこ——菩提山ぼだいさんの城主竹中半兵衛だった。病身なので、酒ものまず、また始終一言も発せず、席に沈湎ちんめんとひかえていたからであった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
所領地の不破へ帰り着くと、半兵衛重治は、その一日を祖先の展墓てんぼにすごし、また一ときを、菩提山ぼだいさんたたずんで
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一族はなお、菩提山ぼだいさんの城に数多あまたあれど、すでに一度、世を捨てた半兵衛には、主縁も族縁もったにひとしい者どもです。——藤吉郎殿とはかねてのお約束。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
秀吉は、尾張中村の芋畑いもばたけを回想していた。半兵衛は初めて世の不思議を感じた菩提山ぼだいさんの月を思い出していた。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一年余り養われた菩提山ぼだいさん下の草庵も、きのうまでかしずいていた松琴尼も、過去すべて彼女の今のこころを振りかえらすには何の魅力もないものばかりだった。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
竹中半兵衛さまの美濃みの菩提山ぼだいさんのお城は、姫路のお城より高い山にある。冬は雪が深く、春は遅い。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かえりみれば、もう十年の余になるな、菩提山ぼだいさんの城を去って、故郷栗原山の山中にかくれた時から」
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
於通は、菩提山ぼだいさん松琴尼しょうきんにの手許で、源氏げんじ素読そどくを習っていた頃のような調子で、それを読んだ。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここは、半兵衛兄妹きょうだいの生地、菩提山ぼだいさんの城からも程近い。——同じ不破郡の内である。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひとまず菩提山ぼだいさんのふもとを足場として、策もねり、旅装も変え、内々の聯絡れんらくもとり、万全を期して、黒田へ乗り込もう。それにくはなく、それには願ってもない足がかりというもの
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)