菜漬なづけ)” の例文
彼女は、どうかすると早起はやおきをして、台所に出たり、部屋の大掃除をしたり、菜漬なづけをつけたりする。と思うと、戸山が原へ、銀のような色の月光を浴びにいったりする。
遠藤(岩野)清子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「そんぢやこの醤油しやうゆけてんべな」おつぎは卯平うへいまへぜんゑてびん醤油しやうゆ菜漬なづけけた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
とかく冬中は、御家中の若殿輩わかとのばらも、足軽などおしもの者も、総じて、屋内に引き籠りがちで、菜漬なづけを喰うて、湯茶をのんで、らちもないむだ話に、徒然つれづれの日を送りがちに見うけられます。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わしとこでは茄子なすを何時作った、今年は出来が悪いとか菜漬なづけがどうだとかいう話ばかりして居るので面白いわけで東京の人は居ないから話はない、隅の方へ往って湯のはねないところへ這入って
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
菜漬なづけ 九一・二五 二・二一 〇・三一 三・五二 二・二三 〇・四八
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
私はこれは喰わぬからといってことわりますと、菜漬なづけの大変うまいのをくれた。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
梅干うめぼし幾樽、沢庵たくあん幾樽、寝具類幾行李こり——種々な荷物が送られた。御直参氏たちは三河島の菜漬なづけがなければ困るという連中であるから、行くとすぐに一人ずつ一人ずつ落伍らくごして帰って来てしまった。
旧聞日本橋:08 木魚の顔 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
とき醤油しやうゆがごつと菜漬なづけたゞよふばかりにつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)