茶献上ちゃけんじょう)” の例文
茶献上ちゃけんじょうの帯の背にはさんだ白扇をとって、あおぎながら、畳んだ手拭の中をかえしてくびいた。小判形の団扇うちわが二本、今戸名物、船佐ふなさ佃煮つくだにの折が出される。
庭は二た間を貫ぬくえんに沿うて勝手に折れ曲ると云う名のみで、幅は茶献上ちゃけんじょうほどもない。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
びらの無紋むもんに、茶献上ちゃけんじょうの帯。切れの長い眼尻めじりに、燭台の灯がものすごく躍る。男でも女でも、美しい人は得なものです。どんな恰好かっこうをしても、それがそのまま、すてきもないポーズになる。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
思い立ったとなると、その場に編笠深くおもてをかくして、白柄細身をずっしり長く落して差しながら、茶献上ちゃけんじょうの博多は旗本結び、曲輪くるわ手前の女鹿坂めじかざかにさしかかったのは、丁度ごろの夕まぐれでした。
まだ其の頃は余り兵児帯へこおびは締めません時分だから、茶献上ちゃけんじょうの帯を締め、象牙ぞうげへ四君子のってある烟管筒きせるづつ流行はやったもので、烟草入たばこいれは黒桟くろざんに金の時代のい金物を打ち、少し色は赤過ぎるが
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
帷子かたびら茶献上ちゃけんじょう——口のなかで謡曲うたいでもうなりながら、無心に水打つ姿。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)