苦蟲にがむし)” の例文
新字:苦虫
「いくらおとなしく話さうたツて」と、義雄はお鳥を見て、「あの苦蟲にがむしみつぶした樣なつらをされては——」
泡鳴五部作:04 断橋 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
「先生は何故もつと快活になつて下さらないのです。先生の顏附は何時も苦蟲にがむしを噛み潰したやうな顏です。」
猫又先生 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
ると、自分じぶんまへには女王樣ぢよわうさまが、うでこまねいてつてられました、苦蟲にがむしみつぶしたやうな可厭いやかほして。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
手を休める暇と云つては殆ど無いのだが、——時として、筆の穂先を前齒で輕く噛みながら、何といふ事なしに苦蟲にがむしを噛みつぶした樣な顏をして居る事があつた。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
毎日まいにち苦蟲にがむしちやしたやうなつらつきばかしされたんぢやんなつちまあぞ、本當ほんたう
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)