舟人ふなびと)” の例文
ここは恋ヶ浦とも、国府の浦ともいう所と、舟人ふなびとから聞かされた。そして島の土を初めて踏んだ。——ともあれと、彼は旅籠はたごへ入って
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
商「旦那え、舟人ふなびとたちに聞合きゝあわせますと、おかと沖とは余程違ったものだそうですが、二人頼んでまいりました」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
この勇ましきへさきのわけゆく路は、小舟またはほねをしみする舟人ふなびとの進みうべきところにあらじ 六七—六九
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
われ等すなほなる舟人ふなびとの子を、8420
奧の舟人ふなびと、——『怪魚をか』と
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
とはの宿りも舟人ふなびと
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
そこらにあった腰蓑こしみのをまとって、散所者の舟人ふなびとに似せた姿も、それらしい。たちまち出屋敷の水門を離れ、舟は一と筋の川へかび出ていた。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ともには天の舟人ふなびと立ち(さいはひその姿にかきしるさるゝごとくみゆ)、中には百餘の靈坐せり 四三—四五
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
これも縡切ことぎれたか、自業自得とは云いながら二人ににん舟人ふなびと死別しにわかれ、何処どことも知れぬ海中に櫓櫂もなく、一人ひとりにて取残されしはなんたる不運ぞ、今この吉藏が臨終いまわ一言いちごん
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
しかとお請合うけあいは出来ませぬが、まア此辺こゝらは天領でござんしてな、存外御政治も行届ゆきとゞいて居りやすから、そんな事アありそうもござんせぬ、なんなら舟人ふなびとを頼んで上げましょうかね
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)