舟中しうちう)” の例文
しかしドン・ジユアンは冷然と、舟中しうちうつるぎをついた儘、にほひい葉巻へ火をつけた。さうして眉一つ動かさずに、大勢おほぜいの霊を眺めやつた。
LOS CAPRICHOS (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
... きみとくをさめずんば(八六)舟中しうちうひとことごと敵國てきこくたらん』と。武矦ぶこういはく『し』と。(八七)すなは呉起ごきほうじて西河せいがしゆす。はなは(八八)聲名せいめいり。
れいは遠い浪のあひだに、高々と両手をさし上げながら、舟中しうちうの客をのろつてゐる。又或霊は口惜くやしさうに、舟べりを煙らせた水沫しぶきの中から、ぢつと彼の顔を見上げてゐる。
LOS CAPRICHOS (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)