腹巻はらまき)” の例文
旧字:腹卷
錠銀がこぼれださないように腹巻はらまきをしめなおし、壺は風呂敷に包んで首に括りつけ、繩梯子なわばしごをつたって甲板へ降りて行った。
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
月のいいなつばんでした。牛若うしわか腹巻はらまきをして、その上にしろ直垂ひたたれました。そして黄金こがねづくりのかたなをはいて、ふえきながら、五条ごじょうはしほうあるいて行きました。
牛若と弁慶 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
使女A 銀鋲ぎんびょうの着いた冑を冠り、緋の袍の上へ、銀と真鍮とで造った腹巻はらまきをしめ、濡れがらすよりも黒い髪の毛を右と左の肩に垂らし、それを片手でなぶりなぶり小声で歌を唄うていた二十七
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「まだ腹巻はらまきをしているじゃないか? それをこっちへとって見せろ。」
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
刀をしらべ、腹巻はらまきを締め直し、草鞋わらじの緒まで気を配っていた。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)