腹中ふくちゅう)” の例文
その扇縄の区域へ、裏切うらぎり者がひそかにどくをしずめたので、夕方の兵糧時ひょうろうどきに、すべての者の腹中ふくちゅうへ、おそるべき酔魚草すいぎょそう毒水どくすいがめぐっている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
B氏は横膈膜おうかくまくで呼吸して内臓を運動させれば自然と胃の働きが健全になる訳だから試しにやって御覧という。これも多少やったが何となく腹中ふくちゅうが不安で困る。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
人造犬じんぞういぬを発明した、これは犬の腹中ふくちゅうに電話器、モートル、電磁石、高圧器、真空管、スピーカー等を材料にして、でっちあげた機械がしかけてあるので、大助君の先生も手伝った。
人造物語 (新字新仮名) / 海野十三(著)
のう熟〻つらつら考うるに、今や外交日に開け、おもて相親睦あいしんぼくするの状態なりといえども、腹中ふくちゅう各〻おのおの針をたくわえ、優勝劣敗、弱肉強食、日々に鷙強しきょうの欲をたくましうし、しきりに東洋を蚕食さんしょくするのちょうあり、しかして
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
「脚気が腹中ふくちゅうに入って、みまかられました」
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
雑煮ぞうに大根だいこん 春 第一 腹中ふくちゅうの新年
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
それから考えると、おそらくもうそのときまでに、ガン星はアドロ彗星の腹中ふくちゅうへおさまっていたのであろう。ガンマ和尚やハイロ君の運命については、もちろんなにも知られていない。
怪星ガン (新字新仮名) / 海野十三(著)
中入なかいりとは、敵地ふかく潜行せんこうして、敵国の腹中ふくちゅうから敵をやぶる戦術語である。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「脚気が腹中ふくちゅうへ入って、みまかられました」
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
第一 腹中ふくちゅうの新年
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)