腰法衣こしごろも)” の例文
その光で見ると、白麻のきぬ黒絽くろろ腰法衣こしごろも。年の頃四十一二の比丘尼びくに一人。肉ゆたかに艶々つやつやしい顔の色。それが眼の光をけわしくしているのであった。
備前天一坊 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
阿波屋さんの皆さんが着くほんの四半刻よはんときほど前でしたよ、深い饅頭笠で顔を隠した、腰法衣こしごろも修行者しゅぎょうじゃが訪ねて来て冠物のまま阿波屋の使いの者だがと私を呼出し
銭形平次捕物控:239 群盗 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
其主人そのあるじだまつてますうちは、わたしかねたゝきに五體ごたいふるはすときでした……もつとも、坊主ばうずは、たゞぼんやりとねずみ腰法衣こしごろもでぶら/\とまへちますばかり、かねちつともならさなかつたつてことでした……
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
深い饅頭笠まんじゆうがさで顏を隱した、腰法衣こしごろもの修行者が訪ねて來て冠物かぶりもののまゝ阿波屋の使ひの者だがと私を呼出し、いきなり一と當て當身を喰はせて眼を廻させてしまひました。
銭形平次捕物控:239 群盗 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)