ただ)” の例文
権力の地位にあって私腹を肥やす者が、徒党を組んでただしき人を嫉妬し、これを陥れることを謀ることは、昔も今も変わりありません。
そしてその闘いは、祈りによってただしくされている。けだし、私たちは愛を実現しようと思えば、必ず真理の問題に触れてくる。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
◯次の十二節—十六節は「人はいかなる者ぞ、いかにしてきよからん、女の産みし者はいかなる者ぞ、いかにしてただしからん」
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
ただしさである。人間的な「義しさ」である。「大津順吉」や「和解」の場合にはそれが最もいちじるしいと思う。
志賀直哉氏の作品 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
多數の認識の眼を越えて、白く、雪の如く、日に輝やいてゐる一つのただしき存在を。
芥川竜之介の死 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
永久に神の国とそのただしきとを求めるすべての熱烈な生命のかがみとなるでしょう。
人の子のただしさは、この世の正義なんぞとはわけが違うからな。人の子はお前たちを世界の果ての暗闇の中へほうり込んでしまうのだ。ちょこまかした雛児ひよっこめら。そこにはただ泣き声と……
「さりながらただしき者はその道を堅く保ち、手の潔浄いさぎよきものはますます力を得るなり」とある。これを英語改訂聖書において
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
これは神のただしき秩序です。しかし罪を罰するというだけのことならば、イエスでなく我ら自身を十字架にかけるのが、至当でありましょう。
仏の相のなかには不動明王のごとく憤怒の相があってもそれはただしき Indignation として慈悲円満の相の中に包摂できるかもしれない。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
彼の姿はただしい烈しい憤怒を画にしたものだった。
神の剣 (新字新仮名) / パウル・トーマス・マン(著)
一人のただしき人の前に、世の権力はいかに恐怖をいだくものか! しかしその権力を、信仰の乏しき者は恐れる。
見よ「人いかでか神の前にただしかるべけん」と、げにこれこの世における最もかたき問題の提出ではないか。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
ただ私はそのたたかいが、他の一面において祈りの心持ちによってただしくされることをねがう。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
人の救いはそのような形式的行事の反覆によるのではなく、道徳的な心の新生によらなければならない。人は道徳的に己が罪を悔い改め、ただしき道徳生活に入らねばならない。
キリスト教入門 (新字新仮名) / 矢内原忠雄(著)