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義心
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ぎしん
烏江水浅騅能逝、
一片義心不可東とは、
往古漢楚の戦に、
楚軍振わず
項羽が走りて
烏江の
畔に至りしとき、或人はなお江を渡りて、
再挙の望なきにあらずとてその死を
留めたりしかども
見付次第
討取て佛へ
手向ずば人と云はぬぞと申渡すに太七は此時十八歳に
成ども餘り
義心少き
生れなれば一向其心なし然れども母の
命を
背き難く
委細承知せしと
云て夫より
種々に心を付て諸方を
良人の御歸り
迄と御止め申たなれ
共以前世話になられし
家に
疱瘡人が是ある由にて是非
見舞に
行ねば成ぬにより
何れ又々近日御尋ね申さん
宜敷申
上呉よと云はれて御歸り成れしと云ふに文右衞門
然でありしか市之丞と
云ふ
男は
義心盛んにして誠に
奇特なる者なり昔し助けし恩を