たず)” の例文
彼は意志の方面、これ智能ちのうの方面で、この両方面における遺伝的系統をたずぬるに、抽斎の前途は有望であったといってもかろう。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
未来の大王 その讖言しんげんによって来るところをたずぬると、今より二千年以降一千二、三百年までの間において、カシミール地方は大変仏教が盛んであった。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
しからばブドウの原産地は何処であるかとたずぬると、それはけだし欧洲の東南部から印度の西部にかけたその間の地がその本国であろうと学者達は言っている。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
万事そうした気風で有てみれば、お勢の文三に感染かぶれたも、またいたも、その間にからまる事情を棄てて、単にその心状をのみたずねてみたら、恐らくはその様な事で有ろう。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
推理の矛盾と重畳ちょうじょう百出ひゃくしゅつするのであるが、これが原因をたずねると、つまり二つに帰する。
性急な思想 (新字新仮名) / 石川啄木(著)
そのしかるゆえんをたずぬるに、鉱山の開掘、各種の工場の開設、もしくは鉄道敷設水力電気工事という如きなんらかの請負事業でも始まると、其処そこに集るものは男子の労働者であって、女子は少ない。
婦人問題解決の急務 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
それはどう言う理由わけかとたずぬると今日はまだ我邦は漢字カナ混用の時代でもあり、かつこの特異な意味をつ科に対して極めて適切な和語が見付らないのであったからだ。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
何故なぜ「どうしたものだろう」かとその理由ことわけたずねて見ると、概略あらましはまず箇様こうで。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
己に内面からの衝動、本能の策励さくれいのあったのはすでに久しい事である。己は心が不安になって、本を読んでいるのに、目が徒らに文字を見て、心がその意義をたずねることの出来なくなることがあった。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)