はげ)” の例文
「微行も微行、一切、人目を怖れるひそかな途中だ。わけてここは諸国の者の出入りのはげしい港町。はやくせい。仔細しさいはあとで話すから」
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見る見るはげしくなって、さっと鳴り、また途絶え、颯と鳴り、また途絶え途絶えしている内に、一斉にの葉にそそぐと見えてしずかな空は一面に雨の音。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
幾日もったらかしてあった七つになる長女の髪をいゝ加減に束ねてやって、彼は手をひいて、三人は夜の賑かな人通りのはげしい街の方へと歩いて行った。彼はひどく疲労を感じていた。
子をつれて (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
昼夜の往来もはげしい所であるから、十七年目の安政二年には所々におびただしい破損が出来て、人馬の通行に危険を感じるようになったので、ことしの三月から修繕工事に取りかかることになって
半七捕物帳:47 金の蝋燭 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
わけてこの川尻と、唐人町の河岸すじは、便船に乗る旅客だの、商人の荷駄だの、物売り女だのと、往来がはげしかった。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幾日もつたらかしてあつた七つになる長女の髮をいゝ加減に束ねてやつて、彼は手をひいて、三人は夜の賑かな人通りのはげしい街の方へと歩いて行つた。彼はひどく疲勞を感じてゐた。
子をつれて (旧字旧仮名) / 葛西善蔵(著)
安土の殷賑いんしん二十日はつか正月を過ぎても衰えは見えない。旅客の往還と、参府帰府の諸侯は相かわらずはげしいし、街道にお使番の早馬や、他国の使臣の寛々かんかんたる歩みを見ない日もなかった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
物見のやりとりは、互いにはげしい。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)