綿屑わたくづ)” の例文
店の間一杯に縫ひかけの五布蒲團いつのぶとんを擴げて、一心に綿を入れてゐた茶店の若い女房にようばうは、二人の入つて來たのを見ると、雪のやうにひざあたりへ附いた綿屑わたくづを拂ひてながら
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
夜食やしよくぜんで「あゝあ、なんだいれは?」給仕きふじてくれた島田髷しまだまげ女中ねえさんが、「なまづですの。」なまづ魚軒さしみつめたい綿屑わたくづ頬張ほゝばつた。勿論もちろん宿錢やどせんやすい。いや、あつものはず、なまづいた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)