網代木あじろぎ)” の例文
即ち、一首の声調が如何にもごつごつしていて、「もののふの八十やそうぢがはの網代木あじろぎに」というような伸々のびのびした調子には行かない。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
その流れを堰く網代木あじろぎのように女の腕一つで見事自分の糊口くちすぎをしてみようという意地も張りも逆立って参ります。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「もののふの八十氏川やそうじがわ網代木あじろぎに」の歌に、名所の特色を現さずといふ事につきて、ある人弁じて曰く、網代は宇治田上うじたがみに限りたる者なれば特色なきに非ずと
人々に答ふ (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
「恋すちょう身は浮舟のやる瀬なさ、世を宇治川の網代木あじろぎや、水にまかせているわいな」
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
網代木あじろぎは、網の代用という意味だが、これは冬宇治川の氷魚ひおを捕るために、沢山の棒杭を水中に打ち、恐らく上流に向って狭くなるように打ったと思うが
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「もののふの八十氏川やそうじがわ網代木あじろぎにいざよふ波のゆくへ知らずも」の歌を前に八田などの歌と共に挙げてかにかくとあげつらひしかば、八田などの歌と同じさまにそしりたりと思はれたるにや
人々に答ふ (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
恋すちょう、身は浮き舟のやるせなき、波のまにまに不知火しらぬいの、燃ゆる思い火くるしさに、消ゆる命と察しゃんせ。世を宇治川うじがわ網代木あじろぎや、水にまかせているわいな……といった風情。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
もののふの八十やそうぢがは網代木あじろぎにいさよふなみのゆくへらずも 〔巻三・二六四〕 柿本人麿
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
もののふの八十氏川やそうじがわ網代木あじろぎにいざよふ波のゆくへ知らずも
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
寂蓮じゃくれん急雨むらさめ定頼卿さだよりきょうの宇治の網代木あじろぎ、これ見る様体の歌也。
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
寂蓮じゃくれんの急雨定頼さだより卿の宇治の網代木あじろぎこれ見様体の歌なり。
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
ものゝふの八十氏川やそうぢがは網代木あじろぎ
歌よみに与ふる書 (旧字旧仮名) / 正岡子規(著)
もののふの八十氏川やそうじがわ網代木あじろぎ
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)