終夜よつぴて)” の例文
もし間違ツたら、終夜よつぴて歩いてゐる事に覺悟をきめてゐたが、たゞきめて見たゞけの事で、中々心から其樣な勇氣の出やう筈が無い。
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
Bは画家らしくあたり見廻したが、小声で、「先生、終夜よつぴて、あゝして起きてゐたね」と囁いた。
アカシヤの花 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
巡査じゆんさや、憲兵けんぺいひでもするとわざ平氣へいきよそほふとして、微笑びせうしてたり、口笛くちぶえいてたりする。如何いかなるばんでもかれ拘引こういんされるのをかまへてゐぬときとてはい。れがため終夜よつぴてねむられぬ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)