紅雀べにすずめ)” の例文
そしてたいせつに紅雀べにすずめのむな毛につつんで、今までうさぎの遠めがねを入れておいた瑪瑙めのうはこにしまってお母さんにあずけました。そして外に出ました。
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
紅雀べにすずめも及ばないほどの軽さで、ばたばたさせたり、半分は地上を、半分は空中をといった風に、一体飛んでいるのか駆けているのか分らないような走り方で
けれど出窓のところに紅雀べにすずめがいたり、垣根のわきに日輪草ひまわりが咲いていたりすると、きっと立止って、珍らしそうに眺めたり、手に触れるものは、きっと触って見るのでした。
童話的な「紅雀べにすずめ」に対照すると「泉」は比較にならぬほど複雑で深刻な事件とその心理とを題材として取扱っているから、もし成効すれば芸術的に高級なものになり得るはずであるが
映画雑感(Ⅵ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
細引ほそびきの麻縄で棒杭ぼうぐいゆわえつけてあるので、あの、湿地茸しめじたけが、腰弁当の握飯を半分ったり、坊ちゃんだの、乳母ばあやだのが、たもとの菓子を分けて与ったり、あかい着物を着ている、みいちゃんの紅雀べにすずめだの
化鳥 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しかしなお好く見ているうちに、沈んだ強い色で小さい体を彩られている紅雀べにすずめが末造の目を引いた。末造はふいとあれを買って持って往って、お玉に飼わせて置いたら、さぞふさわしかろうと感じた。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
紅雀べにすずめが鳴きしきる。
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ホモイはごはんがすんでから、玉へ百ぺんいきをふきかけ、それから百ぺん紅雀べにすずめの毛でみがきました。
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「なあに、すぐれるよ。黄色の火なんか、かえって今までよりよけいえているくらいだ。どれ、紅雀べにすずめの毛を少しおくれ」そしてお父さんは熱心ねっしんにみがきはじめました。
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)