糾明きゅうめい)” の例文
しからぬ男だ、帰ったら糾明きゅうめいせねばならぬ。——其許そこもとを怨むどころか、此方このほうこそ、門下どもの統御の不行届き何とも面目ない」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
では鴻池こうのいけさんのお嬢様だっしゃろ、と答えるくらいが落ちであるから、ここでそれを糾明きゅうめいするわけにはいかないが、ナンとその三井家のお嬢様に
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「あくまで明しを立てぬとなら、殿の寵妾おもいものとて容赦ようしゃはせぬ! 殿に願って御身を捕らえ充分糾明きゅうめい致すまでじゃ!」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「なおこのうえにも、紛失したものを糾明きゅうめいしよう。その男を召し捕ってまいれ」と命じた。
「よくもこの綱吉に一代の恥かかせおったな。裁きは豊後に申しつくる。なお、町人どもをどのように苦しめているやも知れぬ。仮借かしゃくのう糾明きゅうめいせい。——目障りじゃ。早うひけいッ」
赤心せきしんを示し、忠誠を誓い、召捕に、又、拷問に、糾明きゅうめいに、率先当った人であった。
道鏡 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
やはり、三斎隠居であろうか? 浪路どのの失踪しっそうが、わしの細工と見て取って、糾明きゅうめいするつもりでもあるのであろうか? どうも、そうは思われぬが——隠居は、わしをまだまだ信じ切ッている。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
元より、取るに足らぬわっぱのしたこと。巌流は手を下さぬが、そち達がこのままにもいたし難いと思うなら糾明きゅうめいとして、そこの湯柄杓ゆびしゃくで釜の煮え湯を
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
みなの衆、ちと待ってくだされ、お心のほどはかたじけないが、親鸞は勅勘ちょっかん流人るにん、この家は罪を慎む配所でござる。されば、冬は寒いがよく、夏は暑くてこそ、流人の糾明きゅうめいになりまする。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あるまじき伜の不埓ふらち、きっと糾明きゅうめいのうえで、両三年は他国へ修業にやることに親類共が取り計らいましたれば——と、これは弁馬の父として責任のある新五左が、ろくも大事、身も大事、伜も大事と
御鷹 (新字新仮名) / 吉川英治(著)