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粉飾
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ふんしょく
ふりがな文庫
“
粉飾
(
ふんしょく
)” の例文
これは朝鮮に伝えられる
小西行長
(
こにしゆきなが
)
の最期である。行長は勿論征韓の
役
(
えき
)
の陣中には命を落さなかった。しかし歴史を
粉飾
(
ふんしょく
)
するのは必ずしも朝鮮ばかりではない。
金将軍
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
お気に入っても入らなくても、虚勢や
粉飾
(
ふんしょく
)
に事実を曲げて、
聖断
(
せいだん
)
を
晦
(
くら
)
くしたてまつるべきではない——と、これは河内を出るときからの彼のかたい
胸裏
(
きょうり
)
であった。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼らはことに精神を
粉飾
(
ふんしょく
)
していた。二、三のモデルをもっていた。しかもそのモデルがすでに本物ではなかった。あるいはまた、彼らは一つの観念をまねていた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
彼の
憂鬱
(
ゆううつ
)
さは、幾分世紀末的であったにしても、邪念も、誇示も、
粉飾
(
ふんしょく
)
も小細工もない正直さと、そのむき出しの哀愁は、人の心にひしひしと浸透してやまない。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
理想の追求である。ほんとうの理想とか創造とかは、まず現在を破壊すべきものだ。決して現在の醜悪なる社会生活を
粉飾
(
ふんしょく
)
してこれを美化せんとするものではない。
童話に対する所見
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
モデルがはっきり誰であるとも示すこともできないように、彼女一流の想念の花で
粉飾
(
ふんしょく
)
されてあった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
寄生木の大木将軍夫妻は、篠原良平の大木将軍夫妻で、余の乃木大将夫妻では無い。余は厳に原文に
拠
(
よ
)
って、如何なる場合にも
寸毫
(
すんごう
)
も余の
粉飾
(
ふんしょく
)
塗抹
(
とまつ
)
を加えなかった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
眼中の小世界はただ動揺であった、乱雑であった、そうしていつでも
粉飾
(
ふんしょく
)
であった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
夫婦は夫婦で
相喰
(
あいは
)
み、不潔物に発生する
黴菌
(
ばいきん
)
や寄生虫のように、女の血を吸ってあるく人種もあって、はかない人情で緩和され、
繊弱
(
かよわ
)
い
情緒
(
じょうしょ
)
で
粉飾
(
ふんしょく
)
された平和の
裡
(
うち
)
にも
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
彼女の厚かましい
穿鑿
(
せんさく
)
的な眼は、窓ガラス越しに、家の奥まではいり込み、ザビーネの
粉飾
(
ふんしょく
)
の秘密まで見通して、不潔な証拠を探り出し、彼女はそれをずうずうしい満足さで並べたてた。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
だが、その親鸞においてすら、伝記の史料となると、偶像の
瑤珞
(
ようらく
)
や
粉飾
(
ふんしょく
)
とひとしく、余りに常套的な奇蹟や伝説が織りまぜられていて、これの科学的な分解と小説的調整は決して容易なことではない。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
庸三の個人的に
洩
(
も
)
らした
微
(
かす
)
かな憎悪の言葉が、
粉飾
(
ふんしょく
)
と誇張に
彩
(
いろど
)
られたもので、むしろ葉村氏の心持で
忖度
(
そんたく
)
された庸三の憎悪を、彼に代わって彼女に投げつけているようなものであった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
粉
常用漢字
小5
部首:⽶
10画
飾
常用漢字
中学
部首:⾷
13画
“粉飾”で始まる語句
粉飾化