簡短かんたん)” の例文
こんなやうな簡短かんたん応答おうとうが、わたし彼等かれらのあいだに失望的しつぼうてきわらひとともかわされた。しかしはなせないのはわたしばかりではなかつた。大抵たいていはなせないのであつた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
ジルケ教授のこの著述は簡短かんたんなれども日本美術に対する著者独創の意見のすこぶる見るべきものあり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
虎ヶ窟に於てこれほどの事件が出来しゅったいしている間に、のお葉と重太郎とは、何処どこに何をしていたであろう。二人に関する昨夜以来の成行なりゆきを、ここで簡短かんたんに説明せねばならぬ。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
蕪村が漢語を用ゐたるは種々の便利ありしにるべけれど、第一に漢語が国語より簡短かんたんなりしに因らずんばあらず、複雑なる意匠を十七、八字の中に含めんには簡短なる漢語の必要あり。
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
お父さんの話は何時いつでも簡短かんたんで、そして明瞭だ。
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
差出人はガニマール刑事で、文句は簡短かんたん
くわしく云えば長いことだが、まあ簡短かんたんに説明すると、こんな理屈になるんだ。」
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)