かが)” の例文
これでやっと夕の一ト騒ぎもやみ、かがりも暑い夏の宵になりかけていたが、下部の兵らは、いぜん警戒をぎすましているふうだった。
雪洞ぼんぼりは持っていないけれども、廊下へ出ると、庭のところ/″\にかがり火が燃えているので、それが何処からか板敷に反射するばかりでなく
「いいえ、冗談ではございません、昨晩からの陣触れも、あのかがりも、みんなそのわたしのいとこの連合いがさせている業なのでござります」
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
サンジャンの祭礼の晩には、村の広場にかがり火を焚いて、青年たちが夜どおし真鍮しんちゅうたらいを叩く例です。が、私だけは家に閉じ込められて、ただその騒ぎを遠くに聞いていなければなりませんでした。
踊る地平線:11 白い謝肉祭 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
ここの殿でんノ法印良忠(宮の股肱ここうの臣)の部下が、焼けあとの市中の土蔵から財宝を持ち出そうとして、市中取締りのかが武士に捕まッたことがある。
垣の外には、たくさんなかがが、バチバチと赤い火をハゼている。つい昼まで、ここの錦旗を守って近衛このえしていた僧兵らも、どこへ行ったか影もなかった。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夜半よなかも過ぎたろう。渡りきった千余騎は、なおさら行軍をひそかにして、平家の陣のうしろへ迂回まわった。低い雨雲にも、ふかい夜霧にも、かがりが赤く映えていた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あたりは夜営せきとして、陣幕とばりとおす外のかがが、かすかな明りを二人の間に見せているだけだった。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
町毎に立つかがり屋は
かが談議だんぎ