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箭先
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やさき
勘次は
漸く
歸つた
其の
箭先にかういふことで
自分の
家でも
酷く
落付かない、こそつぱくて
成らない
心持がするので
彼は
足も
洗はずに
近所へ
義理も
足すからといつて
出て
行つた。
ロミオ
彼奴の
箭先かゝってゐるゆゑ、
翼を
借りたとても
翔られぬわい、
鳶や
鴉のやうにも
飛べず、
悲しい
思ひに
繋がれてゐるゆゑ、
鷹のやうに
高うも
飛べぬ。
戀の
重荷に
壓伏けらるゝばかりぢゃ。