とう)” の例文
こう仰有おっしゃって若殿様は、じっと父上の御顔を御見つめになりました。が、大殿様はまるでその御声が聞えないように勢いよくとうを振りながら
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「そりゃ惜しいわね。いつか一度はきっと行かなくちゃだめよ。でも、ほんとに加減が悪そうだこと。わたしの頭痛とうを貸して上げましょうか。」
川崎備寛かはさきびくわん長尾克ながをこくなどの面面めんめんで、一とうとうを一まるまる、一さうさうを一たけたけといふふうび、三元牌サンウエンパイポンされたあとのこりの一まいてると、それがカンになり
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
「両陛下が御安泰にいらせられるなら旗をふって合図をされたい」としたためたかきつけと、東京方面の事情を上奏じょうそうする書面を入れた報告とうを投下し、胸をとどろかせてまっていると
大震火災記 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
社へ電報をかけるのに、手がわなないて字が書けなかったそうである。医師は追っかけ追っかけ注射を試みたそうである。後から森成さんにその数を聞いたら、十六とうまでは覚えていますと答えた。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)