つま)” の例文
とは言ひかけたが、是にもつまつた。如何してもこの髮の白い人に向つて、私は詩人になるのです、小説家になるのです、とは言ひ得なかつた。
古い村 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
私は金につまつて心中なんぞを為た、と人にわらわれましても、情婦をんなの体を売つたお陰で、やうやう那奴あいつ等は助つてゐるのだ、と一生涯言れますのは不好いやで御座います。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
つまるをまた追つ掛け、きさまを心に立てやうか乃至それでも不足か、と烈しく突かれて度を失ふ傍にて女房が気もわくせき、親方様の御異見に何故まあ早く付かれぬ、と責むるが如く恨みわび
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
彼は銀子との結婚について父の諒解りょうかいを得たいと思い、遊びすぎて金にもつまっていたので、手術料などで相当の収入みいりがありそうに見えても、いざ結婚となると少しまとまった金も必要なのだったが
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
つまるをまた追っかけ、汝を心に立てようか乃至ないしそれでも不足か、とはげしく突かれて度を失うそばにて女房が気もわくせき、親方様の御異見になぜまあ早く付かれぬ、と責むるがごとく恨みわび
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)