“窓辺(まどべ)” の例文
しまいに私は机から離れて、窓辺(まどべ)に立った。雁は隅田川の上流の方へ飛んで行った。ながいこと、私は窓際に突き立っていた。
如何なる星の下に (新字新仮名) / 高見順(著)
人のせいではない。運命は拓(ひら)いてこそ行け。こうして朧(おぼろ)の窓辺(まどべ)に不平ばかり思いつづけていたとて、たれが外から幸運の車をもって迎えに来よう。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
漢青年は、気がつくと、いつの間にか窓辺(まどべ)によっていた。そこから、西湖(せいこ)の風光が懐しく彼の心を打った。こうして、漢青年の幻想生活が始まった。
西湖の屍人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
あわてた視線が途惑(とまど)って、窓辺(まどべ)の桜に逸れました。私はぞっとしました。その桜の色の悽愴(せいそう)なのに。
病房にたわむ花 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「窓辺(まどべ)に倚(よ)りて」のゲルハルトを採るのは、私の懐古的な好みかも知れないが(ビクターJF四)
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂、野村あらえびす(著)
……明るい窓辺(まどべ)で、静かにグラスの目盛を測っている津軽先生は、時々ペンを執って、何か紙片に書込んでいる。それは毎日、同じ時刻に同じ姿勢で確実に続けられて行く。
秋日記 (新字新仮名) / 原民喜(著)
千吉(きち)は、わざとやけに立上(たちあが)って窓辺(まどべ)へつかつかと歩(あゆ)み寄(よ)った。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
真黒くわれ動(うごか)ざりあしたより桜花(はな)は窓辺(まどべ)に散りに散れども
桜 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)