空部屋あきべや)” の例文
その晩から、万吉は、森囲いの怪しい家、住吉村の三次の住家すみかへ監禁された。縄目を解かれてほうり上げられた所は、屋根裏を仕切ったような空部屋あきべやである。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
燈火は一しきり明るくなって空部屋あきべや洞空ほらあなを照したが、パチパチと幾声いくこえか破裂したあとで、だんだん縮少して、ありたけになった残油のこりあぶらはすでに燃え尽してしまった。
白光 (新字新仮名) / 魯迅(著)
宴席えんせきどなりの空部屋あきべやころむと、ぐたりとたが、したゝか反吐へどをついて、お冷水ひや五杯ごはいんだとやらで、ウイーと受持うけもちの、一番いちばんさんへとこりにて、おや、旦那だんなつてころげてるね
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
空部屋あきべやなんですね」
火星兵団 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「お。では浪人ろうにんども、あちらの空部屋あきべやへさがって試合しあい用意よういをせい」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
明りもない空部屋あきべやで、武蔵はそれを喰べ終ってしまうと
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)