空涙そらなみだ)” の例文
他人の所へくやみに行って零す空涙そらなみだとは違います。新三郎ももう是までだ、知れても構わんと心得、蚊帳のうちたがいに嬉しき枕をかわしました。
それより気の毒なのは、三人の女だ、空涙そらなみだ一つこぼすどころか、横着者のお村などは、病気でブラブラしていたくせに、主人が死ぬと鼠鳴ねずみなきを
そして、いきなりハンカチを顔にあてて、(どんな名優だって、これ程空涙そらなみだをこぼしるものはないであろう)
お勢登場 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
空涙そらなみだこぼしたかてあかん。」といふかと思ふと、京子はすツくと立ち上つて、次の室から臺所の方へ歩き出したので、道臣もお時も周章あわてた風で其の後にいた。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
バイロンが英国を去る時の咏歌のうちに、「誰れか情婦又は正妻のかこちごとや空涙そらなみだ真事まこととし受くる愚を学ばむ」と言出いひだしけむも、実に厭世家の心事を暴露せるものなる可し。
厭世詩家と女性 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
バイロンが英国を去る時の詠歌の中に『誰か情婦又は正妻のかこちごとや空涙そらなみだ真事まこととして受くる愚を学ばむ』と言出でけむも、実に厭世家の心事を暴露ばくろせるものなるべし。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
見せず空涙そらなみだ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
お話二つに分れまして、丈助は空涙そらなみだこぼしながら根本の宅へ帰って参りますと、おみゑは案じて居りまする。門口から
というので奉公人一同大いに驚き、手に/\半棒はんぼう栓張棒しんばりぼうなぞたずさえ、伴藏を先に立て土手下へ来て見れば、無慙むざんやおみねは目も当てられぬように切殺されていたから、伴藏は空涙そらなみだを流しながら