相弟子あいでし)” の例文
手前と相弟子あいでし笠亭仙果りゅうていせんかがお供を致しまして御屋敷へ上っておりますから、私は今のうち一走ひとはしり御様子を見て参ろうかと思っていた処で御座ります。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
細川家に勝久の招かれたのは、相弟子あいでし勝秀かつひでが紹介したのである。勝秀はかつて肥後国熊本までもこの家の人々に伴われて往ったことがあるそうである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「もとは同じ溝口藩のご祐筆、うちのご主人とはお相弟子あいでし、ご先代松坂兵衛様のご門人でござります」
剣道は卜伝ぼくでんの父塚原土佐守つかはらとさのかみ直弟子じきでし相弟子あいでしの小太郎と同格といわれた腕、やり天性てんせい得意とする可児才蔵かにさいぞうが、それとはもつかぬもち竿ざおをかついで頭巾ずきんそでなしの鳥刺とりさし姿。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
数馬と多門とは同門のうちでも、ちょうど腕前の伯仲はくちゅうした相弟子あいでしだったのでございまする。
三右衛門の罪 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
解かれ名実共に春琴の手曳てびきとしてまた相弟子あいでしとして検校の家へ通うようになった。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
仕方なしに昔しの相弟子あいでしの店へ寝泊ねとまりまでさせてもらって仕事をしているのだ。
六月 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
「ほ。……相弟子あいでしだな」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)