皮相ひそう)” の例文
一平 だから今じゃむしろ一般の女性の外形上の言語や服装等の上には皮相ひそうあたらは非常にあるけど
新時代女性問答 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
用向きの繁劇はんげきなるがために、三日父子の間に言葉を交えざるは珍しきことにあらず。たまたまその言を聞けば、にわかに子供の挙動を皮相ひそうしてこれを叱咤しったするに過ぎず。
教育の事 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
往きに一昼二夜、復えりに一昼夜、皮相ひそう瞥見べっけんした札幌は、七年前に見た札幌とさして相違を見出す事が出来なかった。耶蘇教やそきょう信者が八万の都府とふに八百からあると云う。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ものすることいといぶかしきに似たりといえどもまた退しりぞいて考うればひとえおじのぶる所の深く人情のずい穿うがちてよく情合じょうあいを写せばなるべくたゞ人情の皮相ひそうを写して死したるが如き文を
怪談牡丹灯籠:01 序 (新字新仮名) / 坪内逍遥(著)
けれど、これだけではまだ、秀吉の本音ほんねとしては、皮相ひそうである。ここまでのことをいってしまえば、かれは必ず、次のことばを、そのあとに云い足したいとするであろう。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)