略〻ほぼ)” の例文
デモクラシー・ファシズム・共産主義・無政府主義・科学的社会主義の主張乃至研究は、社会哲学の最も重大な且つ略〻ほぼ共通な内容をなす。
辞典 (新字新仮名) / 戸坂潤(著)
先頃銀行の方が不首尾になってから逼塞ひっそくしていたが、父親の成功が略〻ほぼ確定すると共に料簡は再び軌道を脱していた。
村の成功者 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
重景が事、斯くあらんとはかねてより略〻ほぼ察し知りし瀧口なれば、さして騷がず、只〻横笛がことはしなく胸に浮びては、流石さすがに色に忍びかねて、法衣の濡るゝを覺えず。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
ひとずこれを承知の上で、彼の初期の作品、略〻ほぼ一八八六、七年ごろまでの作品を眺めることは勿論もちろん可能であるが、そこには大して取り立てて言うほどのこともない。
チェーホフの短篇に就いて (新字新仮名) / 神西清(著)
自動車の中は略〻ほぼ対等だったが、新邸に着くと大将と一兵卒の関係に戻った。私は応接間へ通されたきり、二時間近く待たされた。尤も女中がお茶を代えに来て
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「或は因果を含められるのかと略〻ほぼ覚悟を極めていましたところ、全く案外でした」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
末男の英彦君ひでひこくんが尋常三年に進んだ頃から、お医者さんと略〻ほぼ縁が切れた。しかし同時に別口の心配が頭をもたげていた。苦労をして育て上げた女の子をとうの立たない中に手放さなければならない。
嫁取婿取 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
と寛一君は略〻ほぼ決心がついていた。兄弟のような新太郎君と一緒が嬉しかったのである。他人の中へ入ってまれるよりもと考えたし、余所よそへ行けば必ずしも東京にいられるかうか分らない。
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
と二人は相談の結果略〻ほぼ段取がきまった。西川の新太郎君は二夏に亙って秀子さんの御機嫌を取った丈けのことがあった。松浦さん夫婦にこの通り印象が好い。人格としては殆んど無鑑査という形だ。
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
それから損の小さいところから大きいところへと心掛けた。道順も略〻ほぼ然うなっていたから、矢張り一種の運命が働いているのだろうと思って自ら慰めた。最後のお客さまは千円を少し突破していた。
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「うむ。略〻ほぼ見当がついた。道子や、お茶を入れておいで
負けない男 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
とお母さんは略〻ほぼみ込んでいる。もう一方奥村さんは
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
と安子夫人がおっ被せて、形式は略〻ほぼ終った。
好人物 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)