申条もうしじょう)” の例文
旧字:申條
さてその時の夫の申条もうしじょう、または私の返答致しました模様などは皆、妾の愚痴がましく相成りますから、ここには略させて頂きます。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
只今のおのおのの申条もうしじょうを御名代に申し上げた。それに就いて御沙汰があるから承れ。抑々そもそもこの度の事件では、お上御両所共非常な御心痛である。
堺事件 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
僧都 綾、錦、牡丹、芍薬、もつれも散りもいたしませぬを、老人の申条もうしじょう、はや、また海松みるのように乱れました。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さて赤坂の方はこの辺もと/\成金紳士の妾宅しょうたくには持つてこいといふ場所なれば買つた上でいやになればかへつて値売ねうりのぞみも有之候よし周旋屋の申条もうしじょうに御座候。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
なおうかうかと千載いがたき光陰をいたずらに空過くうかしながら、先生の御逝去を今更のごとく御驚きとは、はなはだ酷なる申条もうしじょうながらあまり感服致しがたく候
師を失いたる吾々 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
と人もなげな申条もうしじょうに、新九郎は内心むッとしたが、いまだ初心のこととどこまでも下手に
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
当時いまだ三十歳に相成らざるそれがし、このことばを聞きて立腹致し候えども、なお忍んで申候は、それはいかにも賢人らしき申条もうしじょうなり、さりながら某はただ主命と申物が大切なるにて
当時三十一歳のそれがし、このことばを聞きて立腹致し候えども、なお忍んで申候は、それはいかにも賢人らしき申条もうしじょうなり、さりながら某はただ主命ともうすものが大切なるにて、主君あの城を落せとおおせられ候わば
興津弥五右衛門の遺書 (新字新仮名) / 森鴎外(著)