由縁よし)” の例文
親兄のつかへをもなさで、君が家の二九九ほだしならんは三〇〇由縁よしなし。御めぐみいとかたじけなけれど、又も参りなんとて、紀の国に帰りける。
由縁よしある家の娘だったであろう、顔も姿も美しく、狂女になっても品さえあり、卑しいところがないのであるから。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
父という仏も、察するに、ただ田夫野人でんぷやじんではなかろう。由縁よしある者の末にちがいはない。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見れば昔し由縁よしある人なる可し親子の立擧動たちふるまひ尋常じんじやうならず親は篤實とくじつおもてあらはれ娘は孝行自然しぜんと知れまた容貌もすぐれたれば忠兵衞ほと/\感心かんしんなし主個あるじかたのうち向ひお見申せばお宅樣たくさまはお二個ぎりにてお孃樣ぢやうさま失禮しつれいながら美麗うつくしきお生れつきにて御座りますが定めしお婿樣むこさま
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おしとやかな物腰や上品な物の申し振りなど、いずれ由縁よしあるお身の上とお察し申しておりました。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)