生業なりはひ)” の例文
世に生業なりはひも数多く候に、優き優き御心根にもふさはしからぬやうの道に御入おんい被成候なされさふらふまでに、世間は鬼々おにおにしく御前様おんまへさまを苦め申候まをしさふらふか。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
即ち小林六太夫の操座では男子は人形を舞はし、婦女は巫子みことなつて占卜をしてゐた。之れは恐らく非常に古くから彼等の取つてゐた生業なりはひだつたのであらう。
生業なりはひは奪はれ、税金は高くなり、諸式はあがり、増えるのは小供許り。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
阿蘭陀おらんだ商人あきびとたちは自らの生業なりはひのためにこれをのこしき
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
其の生業なりはひをもたづね、おのが身の上をもかたりていふ。
彼の人々も生業なりはひに、面作りはなされまいが……。
修禅寺物語 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
渡りあるきの生業なりはひ昨日きのふつか
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
身の生業なりはひとなりにけり
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)