琴柱ことぢ)” の例文
琴爪が糸のうへをさらさらころころとすべつてゆくのも、雲のやうなもくめのある胴のうへに雁の形の琴柱ことぢがちらばらに立つてるのもみな珍しく美しくみえた。
銀の匙 (新字旧仮名) / 中勘助(著)
手もふれぬ琴柱ことぢたふれてうらめしき音をたてわたる秋の夕かぜ
恋衣 (新字旧仮名) / 山川登美子増田雅子与謝野晶子(著)
琴柱ことぢにかはして音を求むるの陋を免れぬのである。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
琴柱ことぢにかかる夢の花。
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
そのみどり琴柱ことぢにはして
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
象牙ざうげ琴柱ことぢ、そのそば
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
お菊はいたく氣の毒に思ひ我故にかく成行なりゆき給ふなれば何卒見繼みつぎ度思へども親にやしなはるゝ此身なるゆゑ何事も心にまかせず是は僅なれども私しが手道具てだうぐなれば大事なしうりてなりとも旅籠はたごの入用母御の藥のしろ爲給したまへと鼈甲べつかふくし琴柱ことぢ花菱はなびし紋付もんつきたる後差うしろざし二本是はあたひに構はず調とゝのへし品なりとて吉三郎に渡しければ大いに悦び其芳志そのこゝろざし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ちる花に小雨ふる日の風ぬるしこの夕暮よ琴柱ことぢはづさむ
恋衣 (新字旧仮名) / 山川登美子増田雅子与謝野晶子(著)
平調の琴柱ことぢのくばり
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)