王妃おうひ)” の例文
彼は机にってうとうとと居眠っているところを、王妃おうひの呉氏に呼び起され、今ふと見た夢に、慄然りつぜんとあたりを見まわした。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
王さまは今ではよほど年を取っておでになるのですが、まだこれまで一度も王妃おうひがおありになりませんでした。それには深いわけがありました。
黄金鳥 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
これはネパール国王の王妃おうひがおかくれになった時分に、その功徳くどくおさむるためにこの四里の大林の間には一滴も水がないから、一里毎に溜池ためいけを設けて
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
あなたが二十年まえに、フランスの美術商からお買いになった、ヨーロッパのある国の王妃おうひ宝冠ほうかんです。
怪人と少年探偵 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
それに続いて、剣を抜いた君長ひとこのかみが、鏡を抱いた王妃おうひが、そうして、卑弥呼は、管玉くだだまをかけ連ねた瓊矛ぬぼこを持った卑狗ひこ大兄おおえと並んで、白い孔雀くじゃくのように進んで来た。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
オフィリャは可憐かれんであった。劇中劇の幕の終、ハムレットの狂喜きょうきことに好かった。諫言の場もハムレットの出来は好かった。矢張王妃おうひが強過ぎた。ポロニアスは手に入ったもの。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
およそ五、六の天幕はありましたろう。そのうちにも国王及び王妃おうひの居らるる所はなかなか立派なもので、それに相応して大臣方の居らるる立派な天幕も沢山あります。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「父よ。我は不弥の宮に立てる生き物を残さなかった。我は王を殺した、王妃おうひを刺した。」
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
「不弥の女を我は見た。不弥の女は耶馬台の宮の王妃おうひになった。」
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)