濡地ぬれつち)” の例文
小松にさわる雨の音、ざらざらと騒がしく、番傘ばんがさを低くかざし、高下駄たかげたに、濡地ぬれつちをしゃきしゃきとんで、からずね二本、痩せたのを裾端折すそはしょりで、大股おおまた歩行あるいて来て額堂へ、いただきの方の入口から
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……さきへ/\、くのは、北西きたにしいちはうで、あとから/\、るのは、東南ひがしみなみ麹町かうぢまち大通おほどほりはうからである。かずれない。みち濡地ぬれつちかわくのが、あき陽炎かげろふのやうに薄白うすじろれつゝ、ほんのりつ。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)