潺々せん/\)” の例文
洋燈ランプめづらしいが、座敷ざしきもまだ塗立ぬりたての生壁なまかべで、たかし、高縁たかゑんまへは、すぐにかしつき大木たいぼく大樹たいじゆ鬱然うつぜんとして、めぐつて、山清水やましみづ潺々せん/\おとしづかながれる。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
谷々から滴り落ちる水が、或は潺々せん/\とした小さい瀬を成し、或は人に知られない無名の瀑布を懸け、時には激し時には淀んで、段々世間に流れ落ちて行く形が面白い。
日光 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
奇麗きれいさらつてしまつて、井筒にもたれ、井底せいていふかく二つ三つの涌き口から潺々せん/\と清水の湧く音を聴いた時、最早もう水汲みづくみの難行苦行もあとになつたことを、嬉しくもまた残惜のこりをしくも思つた。
水汲み (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)