)” の例文
が、きょうの相手は、如何いかんともすることができなかった。まるで無反応な存在である。山へ向って声を張るように、気ばかりれてしまうのだった。
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やがて夫の光国が来合わせて助けるというのが、明晩、とあったが、翌晩あくるばんもそのままで、次第に姫松の声がれる。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
女房のスゲノも、五人かの子供を産んで、何もかももうれきってしまっているようであった。伝平が力にしているのは、最早もはやせがれの耕平だけであった。
(新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
上人様のお諭しを受けての後も分別に分別らしてわざわざ出かけ、汝のために相談をかけてやりしも勝手の意地張り、大体ならぬものとても堪忍がまんなるべきところならぬを
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
日に一時間か二時間、病みついてなおらないあしを外にきずって行くのである。彼が役に立つことといっては、裏庭の井の水がれた時に、森の泉まで行くことだけであった。
けれども萩の四五株しかない上、落合直文おちあひなほぶみ先生の石碑を前にした古池の水もれになつてゐるのは哀れだつた。ただこの古池に臨んだ茶室だけは昔よりも一層ものびてゐる。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
詩魂の尊さは、そのようなれない進歩が最近の詩集にもうかがわれることです。
黒眼鏡の奥、皮膚のしわからにじみ出るものは、とおくれつくして
原爆詩集 (新字新仮名) / 峠三吉(著)
痩涓唯待渇 痩涓唯だるを待つ。
閉戸閑詠 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
……敵の信長に、なみだをもつことは許さん。なぜ、そのように痩せるか、子にあたえる乳をらすか
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)