淵瀬ふちせ)” の例文
飛鳥川あすかがは明日あすをも俟たで、絶ゆるもなく移り變る世の淵瀬ふちせに、百千代もゝちよを貫きて變らぬものあらば、そは人の情にこそあんなれ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
こゝ長門國ながとのくに阿武郡あふのごほりはぎは江戸より路程みちのり二百七十里三十六萬五千ごく毛利家の城下にてことにぎはしき土地なり其傍そのかたはらに淵瀬ふちせといふ處ありむかし此處このところはぎの長者といふありしが幾世いくよ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
うみならずやまならぬ人世じんせい行路かうろなんいまはじめておもあた淵瀬ふちせことなる飛鳥川あすかがは明日あすよりはなにとせん
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
淵瀬ふちせを定めぬ世の習いとは申しながら、全く人の身の上は分らぬものでござります
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)