淡路島あわじしま)” の例文
さてこそとにわかに元気つきて窓をのぞきたれど月なき空に淡路島あわじしまも見え分かず。再びとろ/\として覚むれば船は既に港内に入って窓外にきらめく舷燈の赤き青き。
東上記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
そして、淡路島あわじしまの東海岸ぞいに、大阪湾の出口のほうへでていったが、やがて淡路の島影から、意味ありげに明滅めいめつする灯火あかりをみると、しだいにその上空へすすんでいった。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
淡路島あわじしまでシロトアゲというのもまたそれで、正月にこれを製して神棚や仏壇に、かしわの葉をもって注ぎかける。能登のと穴水あなみず地方では是を人根(ニンゴン?)と謂うそうである。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
みんなその船に「枯野からぬ」という名前をつけました。そして朝晩それに乗って、淡路島あわじしまのわき出るきれいな水をくんで来ては、それを宮中きゅうちゅうのおし料にさしあげておりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
私はここで淡路島あわじしまに立寄ることにしたく思います。今は兵庫県に属します。この島の名に因んだ言葉としては「淡路結あわじむすび」とか「淡路半紙あわじばんし」とか「淡路焼あわじやき」とかを想い起します。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
が、僕は今より十層倍も安っぽく母が僕を生んでくれた事を切望してまないのです。白帆しらほが雲のごとくむらがって淡路島あわじしまの前を通ります。反対の側の松山の上に人丸ひとまるやしろがあるそうです。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
淡路島あわじしまを見に行くとおっしゃって皇后のお手前をおつくろいになり、いったんその島へいらしったうえ、そこから、黒媛くろひめをたずねて、こっそり吉備きびまで、おくだりになりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
戸倉老人はその後、海岸通かいがんどおりの店を売りはらって、思いでの淡路島あわじしまを眼のまえに見る、明石あかしの丘に一軒の家を建てた。そして、いまでは草花を作りながら、静かに余生を送っている。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
日本の伊豆の大島よりは大きいが、淡路島あわじしまよりは小さいくらいだ。豆粒みたいな小さい星だ。そしていまだに宇宙をふらふら迷子になってとびまわっているという、きみょうな星なのさ
宇宙の迷子 (新字新仮名) / 海野十三(著)
まずいちばんさきに淡路島あわじしまをおこしらえになり、それから伊予いよ讃岐さぬき阿波あわ土佐とさとつづいた四国の島と、そのつぎには隠岐おきの島、それから、そのじぶん筑紫つくしといった今の九州と、壱岐いき対島つしま
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
淡路島あわじしまの中央部、人里ひとざとはなれた山岳地帯のおくに、ヘクザ館という建物がある。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)