海邊うみべ)” の例文
新字:海辺
かの旗手とともにこの物遠く紅の海邊うみべに進み、彼とともに世界をば、イアーノの神殿みやとざさるゝほどいと安泰やすらかならしめき 七九—八一
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
自分は席を辭したまゝ、海邊うみべの冬の日の暖かさにうちへは上らず、獨りで海の方へと歩いて行つた。
新帰朝者日記 拾遺 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
深川ふかがは高橋たかばしひがし海邊うみべ大工町だいくちやうなるサイカチといふところより小名木川をなぎがはふねうけて……
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
飛出とびいだしける故主は何事なるやと狼狽うろたへながら後より追馳おひかけ行しに其はやき事とぶが如く勿々なか/\追着おひつく事能はず待ね/\と呼止よびとむれど靱負は一向みゝにも入ず足に任せて馳行はせゆきしがやが海邊うみべに到りなみの上を馳行はせゆく陸地くがち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
朝は海邊うみべの石の
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
かくて我等はさびしき海邊うみべ、その水を渡れる人の歸りしことなきところにいたれり 一三〇—一三二
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
鐵と石ばかりの紐育ニユーヨークに居た時分、炎暑の爲めには幾人も人死があるやうな恐しい日には、自分はよく青々した日本の海邊うみべを思出したが、いざ日本に歸つて此樣こんな寒い風に吹かれると又反對に
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)