注込つぎこ)” の例文
焼味噌のすこし黒焦くろこげに成つたやつを茶漬茶椀かなんかに入れて、そこへ熱湯にえゆ注込つぎこんで、二三杯もやつて見給へ。大抵の風邪はなほつてしまふよ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
要するに、読むよりも見るはうが好き、目で見たことはよく覚えるが、単に耳から注込つぎこまれた事は容易に呑込まぬ鈍根、若しくは気の散る性質であつた。
船のある事……帆柱ほぼしら巻着まきついた赤い雲は、夕日の余波なごりで、鰐の口へ血の晩御飯を注込つぎこむんだわね。
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
注込つぎこんだら、その瞬間に、もう前のものとはまるで違ったものになってしまいます。
ふねのあること……帆柱ほばしら卷着まきついたあかくもは、夕日ゆふひ餘波なごりで、わにくち晩御飯ばんごはん注込つぎこむんだわね。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
旦那は、実の開けた穴を埋めさせようとして、更に大きく注込つぎこんでいた。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)