十歳以前に読んだ本じっさいいぜんによんだほん――明治四十五年六月『少年世界』の為に――――めいじよんじゅうごねんろくがつ『しょうねんせかい』のために――
私は過去を語るのが強ち嫌ひといふ訳でもないが、前へ向つてする仕事が比較的忙しかつたので、曾て昔話をしたことが無い、随つて古い事はずん/″\忘れてしまつた。さうでなくとも、地体が記憶力の弱いはうで、忘れる事につけては名人なのだから、爰にかうい …