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泡沫
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しぶき
ふりがな文庫
“
泡沫
(
しぶき
)” の例文
船と船とが行き合ふと、緩かな汽笛が響いて、よどんだ水がうねりとうねりの間でせせ笑ふやうに白い
泡沫
(
しぶき
)
を立てたりした。
修道院の秋
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
プーッと吹き出す血の
泡沫
(
しぶき
)
が、松明の光で
虹
(
にじ
)
のように見えた。と、もうその時には葉之助は、ピタリ中段に付けていた。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
泡沫
(
しぶき
)
が飛んで、傾いた
舷
(
ふなばた
)
へ、ぞろりとかかって、さらさらと乱れたのは、
一束
(
ひとたばね
)
の女の黒髪、二巻ばかり杭に巻いたが、下には何が居るか、泥で分らぬ。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
霰弾
(
さんだん
)
の、赤い
泡沫
(
しぶき
)
が、ひもすがら
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
筏船は
駸々
(
しんしん
)
と走って来る。歌のような帆鳴りの音がする。
泡沫
(
しぶき
)
がパッパッと
船首
(
へさき
)
から立つ。
船尾
(
とも
)
から一筋
水脈
(
みお
)
が引かれ、月に照らされて縞のように見える。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
四散する
泡沫
(
しぶき
)
が
灯火
(
ひ
)
に光った。もちろんほんの一瞬間であった。すぐ煙りのように消えてしまった。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
滝の幅は五間もあろうか、
轟々
(
ごうごう
)
という高い音は、空洞一杯に反響した。滝には縞が出来ていた。夜光虫の放つ光線が、水勢へ
陰影
(
かげ
)
をつけるからであった。
泡沫
(
しぶき
)
が水路を煙らせた。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「無礼者!」と叫ぶと同時に、真っ先に進んだ川添三弥は、刀を抜いて
颯
(
さっ
)
と斬った。パッと散る血の
泡沫
(
しぶき
)
、首を
刎
(
は
)
ねられた老人は、薄雪の積もった峠道へ、バッタリ
死体
(
しがい
)
を転がした。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
日光が横から射しているので、滝の
泡沫
(
しぶき
)
に虹がかかり、何んとも云えず美しい。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
二つの浮き岩は唸りながら、互いに相手を憎むかのように、力任せに
衝突
(
ぶつか
)
り合っていた。飛び散る
泡沫
(
しぶき
)
は霧を作り、その霧の
面
(
おもて
)
へ虹が立ち、その虹の端の一方は、
陸地
(
くがち
)
の
断崖
(
がけ
)
に懸かっていた。
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そうして互いに
衝突
(
ぶつか
)
り合い、恐ろしい
泡沫
(
しぶき
)
を揚げている。その泡沫は雪のように
四辺
(
あたり
)
の海を濛々と曇らせ、行く手をすっかり蔽い隠している。そうして互いに
衝突
(
ぶつか
)
り合う音が雷のように響き渡る。
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
肩の弾力に刎ね上げられ、煙りのような
泡沫
(
しぶき
)
が上がった。彼女の裸体は
簾
(
すだれ
)
を懸けた。それは
硝子
(
ガラス
)
の簾であった。一時に裸体は
艶
(
つや
)
を持った。灯明の灯が吸い寄せられた。テラテラと全身が
閃
(
ひら
)
めいた。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
雨と
泡沫
(
しぶき
)
で彼女の体は、漬けたように濡れてしまった。
大捕物仙人壺
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
“泡沫”の意味
《名詞》
泡 沫(ほうまつ、うたかた)
儚いもの。
(ほうまつ)異常な好景気。バブル。
(ほうまつ)影響力の非常に弱いもの。存在意義の希薄なもの。
(ほうまつ)泡沫候補、泡沫政党の略。
(出典:Wiktionary)
泡
常用漢字
中学
部首:⽔
8画
沫
漢検準1級
部首:⽔
8画
“泡沫”で始まる語句
泡沫夢幻
泡沫玉
泡沫銭