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河岸店
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かしみせ
徳蔵の女房は吉原の
河岸店の勤めあがりで、
年あきの後に、徳蔵のところへ
転げ込んで来たのである。
竹格子の裏窓を明けると
箕輪田圃から続いて
小塚原の
灯が見える
河岸店の二階に、種員は
昨日の
午過から長き日を短く暮す
床の内、引廻した
屏風のかげに
明六ツならぬ暮の鐘。
年増はまだよし、十五六の
小癪なるが
酸漿ふくんで
此姿はと
目をふさぐ
人もあるべし、
所がら
是非もなや、
昨日河岸店に
何紫の
源氏名耳に
殘れど、けふは
地廻りの
吉と
手馴れぬ
燒鳥の
夜店を
出して
年増はまだよし、十五六の
小癪なるが
酸漿ふくんでこの
姿はと目をふさぐ人もあるべし、所がら是非もなや、
昨日河岸店に
何紫の
源氏名耳に残れど、けふは地廻りの
吉と手馴れぬ焼鳥の夜店を出して