河岸店かしみせ)” の例文
徳蔵の女房は吉原の河岸店かしみせの勤めあがりで、ねんあきの後に、徳蔵のところへころげ込んで来たのである。
半七捕物帳:13 弁天娘 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
竹格子たけごうしの裏窓を明けると箕輪田圃みのわたんぼから続いて小塚原こずかっぱらあかりが見える河岸店かしみせの二階に、種員は昨日きのう午過ひるすぎから長き日を短く暮すとこの内、引廻した屏風びょうぶのかげに明六あけむツならぬ暮の鐘。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
年増としまはまだよし、十五六の小癪こしやくなるが酸漿ほうづきふくんで此姿このなりはとをふさぐひともあるべし、ところがら是非ぜひもなや、昨日きのふ河岸店かしみせ何紫なにむらさき源氏名げんじなみゝのこれど、けふは地廻ぢまわりのきち手馴てなれぬ燒鳥やきとり夜店よみせして
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
年増はまだよし、十五六の小癪こしやくなるが酸漿ほうづきふくんでこの姿なりはと目をふさぐ人もあるべし、所がら是非もなや、昨日きのふ河岸店かしみせ何紫なにむらさき源氏名げんじな耳に残れど、けふは地廻りのきちと手馴れぬ焼鳥の夜店を出して
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)