氷川ひかは)” の例文
よほど後に何時か江戸川亂歩氏に聞いたら、「僕の妻も氷川ひかはのはうまで些細な炭を買ひに行つたもんだよ」といふんです。
折々の記 (旧字旧仮名) / 吉川英治(著)
あゝ此行このかう氷川ひかはみやはいするより、谷中やなかぎ、根岸ねぎし歩行あるき、土手どてより今戸いまどで、向島むかうじまいたり、淺草あさくさかへる。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
目をさますことは氷川ひかはの方にゐた時は一番烈しかつたと思はれたが、この頃では、またその習慣が囘復して來て、夢に見た母の姿を、枕もとに起きあがつてまでも見まはす樣子をする。
義雄はその他の三分の一を以つて、お鳥と共に、氷川ひかはの森かげに於いて、新年を籠城したのであつた。けれども千代子はなほ自分へ義雄の愛が返ると思つてゐるのか、かう云つて叫んだ——
いま憂慮きづかひなし。大塚おほつかより氷川ひかはりる、たら/\ざかは、あたか芳野世經氏宅よしのせいけいしたくもんについてまがる、むかし辻斬つじぎりありたり。こゝに幽靈坂いうれいざか猫又坂ねこまたざか、くらがりざかなどふあり、好事かうずたづぬべし。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)