水門みなと)” の例文
しかしそこから南の方へまわって、紀伊国きいのくに水門みなとまでおいでになりますと、お傷のいたみがいよいよ激しくなりました。命は
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
かれその水門に名づけて和那美わなみ水門みなとといふなり。またその鳥を見たまへば、物言はむと思ほして、思ほすがごと言ひたまふ事なかりき。
朝夕忙しく、水門みなとが白むと共に起き、三つ星の西に傾くまで働けばもちろん骨も折れるけれど、そのうちにまた言われない楽しみも多いのである。
隣の嫁 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
混沌忽ち拆けて、天地遽に開け、魑魅遁竄して、翔走皆欣ぶの勢が現はれるところの、所謂『水門みなとあけ』の有樣を示す。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
見わたす太平洋の波はまぶしく光り、はるかな沖の方で空の光と一つに溶けて無限に遠い海のあなたを思はせた。石の巻の港、むかしの伊峙いし水門みなとである。
東北の家 (新字旧仮名) / 片山広子(著)
「待て待て、汐合しおあい水門みなとから伝馬が一そう、無提灯でこっちへ来るようだぞ」
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
あゝ 幾歳を経たりけむ 水門みなとの彼方
わがひとに与ふる哀歌 (新字旧仮名) / 伊東静雄(著)
水門みなとあし末葉うれはを たれか たりし。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
八十やそ水門みなとはへだつれど
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
鱶のむれ水門みなとをすぐと
駱駝の瘤にまたがつて (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
其處から𢌞つておいでになつて、紀伊きいの國のヲの水門みなとにおいでになつて仰せられるには、「賤しい奴のために手傷を負つて死ぬのは殘念である」
大洋おほうみは秋日まぶしくいにしへの伊峙いし水門みなとを船出づる今日も
東北の家 (新字旧仮名) / 片山広子(著)
舟か水門みなとの舟ならば
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
そこでその水門みなとをワナミの水門とはいうのです。さてその鳥を御覽になつて、物を言おうとお思いになるが、思い通りに言われることはありませんでした。
かれ血沼の海といふ。其地そこより𢌞り幸でまして、の國の水門みなとに到りまして、詔りたまはく、「賤奴やつこが手を負ひてや、命すぎなむ」と男健をたけびしてかむあがりましき。
遂に高志こしの國に追ひ到りて、和那美わなみ水門みなとに網を張り、その鳥を取りて、持ち上りて獻りき。
それで其處をヲの水門みなとと言います。御陵は紀伊の國の竈山かまやまにあります。