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水浅黄
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みづあさぎ
この
水浅黄の
帷子はわたしの
祖父の着た物である。祖父はお城のお
奥坊主であつた。わたしは祖父を覚えてゐない。
色白の首筋に紺の腹がけ、さりとは見なれぬ
扮粧とおもふに、しごいて締めし帯の
水浅黄も、見よや
縮緬の
上染、
襟の印のあがりも
際立て、うしろ鉢巻きに
山車の花一
枝
衣服は
白無垢に、
水浅黄の
襟を
重ねて、
袖口と
褄はづれは、
矢張白に
常夏の
花を
散らした
長襦袢らしく
出来て
居て……
其が
上から
着せたのではない。
木彫に
彩色を
為たんです。